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春の栃木県遠征 その二 三部

  • 遠林健一郎
  • 2017年5月10日
  • 読了時間: 7分

さて、いよいよ2日目のメインディッシュである大田原屋台まつりを見物・撮影に、大田原市へと向かう。

前の記事でも書いたように、黒磯行の東北本線に乗り、西那須野駅が最寄り駅。

祭のメイン会場となる、金燈籠の交差点までは徒歩で55分。

冬場のガッツリ積もった日には自転車が使えないから、そんな片道通学をしたこともあったもんだけど、少し遠い・・・。

とは言え、全くもって不可能という数字でもなく、微妙にいじらしいところ。

東北本線(宇都宮線)の車内は極々普通で、特に書くことがないので端折ってしまうけど、40分ぐらい揺られただろうか。

西那須野駅に降り立ってみると、よく見慣れた田舎都市の風景に出くわした。

さほど大きくないロータリーには2台程のバスが停まり、周りには住宅や背の低いマンションが見え、その奥には車が行き交う道路が見える。

典型的な車社会の日常だろう。

ロータリーで路線バスの時刻表を確認した。

運の悪い時間帯に当たったようで、ちょうどいい便がない。

1時間に1~2本程度の便数のようで、近いのでも50~60分は待たねばならない。

祭りの日というのは道路が規制されるので、ルートが変わるか、下手すれば便自体がなくなるということもある。

まして、未知の知地名やバス停名などキチンと把握できるはずもない。

地図と一体になった路線図が書いてあればいいけど、バス停名だけ羅列されて線で結ばれても、なんじゃこりゃ、である。

大体の方角と行き方は調べていたので、プリントアウトしていた地図を頼りに歩くことにした。

バス停の立ってそうな道路をなぞって歩いていれば、後からバスが追っかけて来ることだろう。

バス停を見つけたら、現在時刻と表記されている時刻とを照らし合わせる。

それを繰り返して、時間差が少ないところで待って乗り込めばいい。

そんな思いがあった。

まぁ、駅近辺に時間を潰せるようなところが見当たらなかったのも理由なんだけど。

これがちょっとした試練の始まりだった。

そもそもジモッティでもない私が、路線バスのルートを正確になぞる事ができるのか?

答えは当然NOである。

それでも、先を急ぎたい気持ちというのが先行して立ち止まりはしなかった。

再確認しておくけど、既に午前の時点で歩きづくめ。

しばらく歩くと、左手に「乃木公園」という案内看板が見えてきた。

事前に調べて分かっていたのだけれど、その名の通り乃木希典ゆかりの公園。

正確に言うと、乃木希典の別邸が敷地内に残されているらしく、ちょっとした散策スポットなのだろう。

(ちなみに存じ上げない方に補足しておくと、乃木希典とは大日本帝国時代の陸軍大将で、昭和天皇の教育係も務めた軍人である。「乃木神社」や「乃木阪」という地名も彼かららしい)

けれども、まだ先の長い私にその200mは厳しかった。

少し気にはなったが、スルーする。

ここから先が最も険しい道のりだった。

幹線道路に出、それに沿って歩いて行く。

失礼ながら、単調であまり変わり映えしない風景。

普段、地元で見慣れているからこそとも言えるが・・・。

取り立てて書くこともないので、ここも端折ることにする。

一番大変だったんだけども。

そのうちバス停の確認もめんどくさくなり、「もういいや」と歩いていた。

その横を路線バスが通り過ぎて行く。

あー。

さっきのバス停で待ってりゃ良かったか。

これから祭りだというのに、後の祭り。

何だかなー、である。

ともかくも、少し町っぽくなってきた。

市役所近辺まで来たようだ。

BESIAという関東圏のスーパーが見えたので、覗いて気晴らしをした。

ここまでくれば、道程の8割は済んだことになる。

あと少し、とBESIAを後にする。

道なりに歩いていると、国道400号が交わる大きな交差点に出た。

400号の左折側に警察官が立ち、道路封鎖をしている。

遂に目的地近辺まで到達した。

左折し400号を歩いて行く。

祭衣装の人が歩いていたり、屋台組の事務所が見えたり。

露店も現れ始めたりして、いよいよ祭らしくなってきた。

先に見えている。

間違いなく彫刻屋台だ。

これまでの疲労感は一瞬にして吹き飛んでしまった。

どうやら大田原の彫刻屋台には、木彫り感そのままのものと彩色されたものの2種類があるらしい。

以前見た秩父のそれと比べると、小振りで重量感はない。

とは言え、この彫刻は見事。

特にこの寺町の屋台、赤くて色鮮やか。

それにしても小刻みで手数の多いお囃子だ。

後で調べたら、「神田五段囃子」とか言うらしい。

関東圏だけあって、やっぱ神田囃子の影響圏なんだな。

秩父屋台囃子も早くて手数が多いが、これはそれと肩を並べそうだ。

夜に向けて提灯を飾る作業も始まった。

ここが金燈籠交差点のど真ん中。

各町の代表者だろう。

ぶっつけ本番前に円陣を組んで意気込んでいた。

ぶっつけを前にして盛り上がる若者たち。

輪の中に入れ替わり立ち代わり誰かが入り音頭を取る。

周りは囃す。

絶好のシャッターチャンスで、私は幾度となく カメラを構えた。

けれども、なかなか思うような写真には至らなかった。

トイレに入りたかったこともあり、ここで私はトコトコを目指した。

お気づきかと思うけれども、この日は最高の天気。

トイレ後、トコトコに立体駐車場があったので、登って日没を鑑賞した。

大田原の町で臨む夕陽の景色。

皆祭に気を取られていたけど、これも最高だった。

宇都宮で栃木県庁の展望室から眺めても最高だったろうな、と思いつつも体は1つしかない。

それにこの日は日曜だし。

もっと言うと、こういう天気の日の屋台祭では、こういう天気ならではの絶景が待っているのを、私は秩父夜祭で経験済みだった。

これだよこれ。

金に飾られた屋台が、西日を浴びてさらに金色度を増して輝く。

天気の最高にいい日で、しかも山車ではなく屋台、さもなければ関東以西の曳山じゃないとまず拝めないだろう光景。

東北だと秋田の花輪囃子の底抜け屋台とかぐらいしかないかも(屋台文化は他にもあるけど、金のボディをしているとなると限られてくる)

夕陽を背負いながら、金燈籠交差点に屋台がいよいよ入り始める。

屋台の上では立ち姿も様になっている。

集まりだしてきた。

やはり屋台は提灯で飾られている時が一番だ。

9町の屋台は円になるように並び始めた。

まずは2町ぶっつけから始まる。

ぶっつけと言っても読んで字のごとく屋台同士をぶつけるわけではなく、ギリギリまで詰め寄って囃し合う、要は「お囃子合戦」のようなものだ。

向かい合う2町ずつ行われた。

次は全町一斉ぶっつけ。

これだけの綺麗な写真は、被写体にかなり接近していないと私のコンデジでは難しい。

全町ぶっつけの後、サプライズがあった。

何と、屋台の輪の中に一般の人も入っていいという。

私は迷わず中へ。

また屋台はギリギリまで詰め寄り始め、賑やかなお囃子が始まった。

360度見渡す限りの屋台。

全方向から聞こえてくるお囃子。

広角レンズを持っていれば絶景が撮れた。

私は悔しかったので、とっさに録画機能で360度回し撮りをした。

気まぐれ録画機能クン。

この時は正常に働いてくれたのが幸運だった。

至福の時を過ごした。

安全面の確保から、どこの祭でもこんなサービスはまずしない。

特にアマチュアカメラマンの一部が行き過ぎたりする。

いい写真を撮りたいがために・・・。

この後、屋台はまた全町ぶっつけをした。

宇都宮まで帰らねばならない私は、最後の全町ぶっつけを背に最寄りバス停まで向かっていた。

さすがにまた徒歩はごめんだ。

だから会場についた時点で、そのバス停に貼ってある時刻表で、電車の時間に合う便を調べていた。

写真好きそうな、会話苦手そうな先客のおっちゃんがいた。

便の確認で少し会話した。

聞けば、埼玉からだと言う。

なるほど、東武線使えば栃木アクセスもしやすい。

なんだか羨ましく思った。

バスは来た。

そして10分程度で西那須野駅まで突いてしまった。

しかも、乗車賃は220円程度!?(だったはず)

私の今までの苦労は何だったんだ(苦笑)

続く

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